自転車操業グループ

思い出したので早めに書いておくことにしよう.学部生のころに祇園で働いていたのです.ラウンジでチーフというかホールのボーイさんを.掃除をし,塩をまき,氷を割り,注文の品を直し,お客さんを迎え,氷とお酒を出し,突き出しを出し,フルーツやなんやかんやを出し,会計をして,送り出して,店を閉めて,注文をして,掃除をして,帰る.そういう仕事をしていたのです.
 まぁこのへんはまたいつか書いたり書かなかったりするのですが,そのころよく行っていた飲み屋がありました.祇園のホステスを相手にしている,安い飲み屋でした.カウンター6人とテーブル一席で10人しか入れない小さなお店.そのお店の名前が「×一(ばついち)」といいました.僕と友人は同じ店で働いており,よく示し合わせてその店で飲んでいたのです.友人と店をやろうという,まるで恋に恋する乙女のように「大きな犬を飼って,ログハウスに住むの.小さい庭にはいろんな華が植えてあって・・・」死んだらいいのに.
 そんなとき僕たちはなぜか無駄にリアルな妄想をしていました.「きっと,俺たちが店をやるときも×一で嫁はいないのに,子供はいて,背中でおぶりながらやる羽目になるね.」「そうそう養育費とか慰謝料でいっぱいいっぱいだから,買い置きも無く,注文が入ってから,買いに行くねんな」と・・・
 そんな僕たちが経営予定のお店の名前は...
「バー いっぱいいっぱい」
「スナック ×一」
「川魚料理 泥舟」
「炉辺焼き 火の車」
「多国籍料理 密入国
「ラウンジ 若作り」
それらを取りまとめる総称として
「(有)自転車操業グループ」
と命名しました.
いつの日か実現したいものです.