生きものの記録

JUNK交流戦で爆笑問題大田が伊集院光に勧めていた作品.
以下ネタばれあります.

ぶっちゃけると核を異様に恐れる工場経営のおとっつぁんとその息子達の話.核が怖いので家族および妾+その子供までつれてブラジルに行こうとするために,工場などの私財を売り払おうとするオヤジ.息子達はそこの経営に関わっているのでとんでもない話だと,オヤジに財産を自由に動かせないようにする.オヤジは妾やらに金を借りるなど金策に走り,さらには,工場の金庫からとったりしようとする.
 最後は「工場があるから,みんなブラジルに行かないんだ.だったら工場を燃してしまえばみんないくんじゃないか?」と工場に火をつけ,精神病院に入院させられてしまう.

常識的に考えればおとっつぁんの頭が狂っているのであって,核が落ちたら何処に逃げたって仕方が無いし,日々の資金繰りもあるし,友達もいるし,まじめに考えたら暮らせないから,など「ナァナァ」な理由をつけて息子達が正しいような気がしてくる.でも,なんで,僕らは「核が,自然破壊が,タバコが,添加物が,遺伝子組み換えが,病気が,AIDSが,癌が,戦争が,ミサイルが,隣国が,宇宙線が,宇宙人が」怖くないんだろう?
 怖いって言ったって仕方が無いから,怖くなくなるんだろうか?怖がっている暇があったらもっと怖いこと(会社の上司に怒られるなど)が起こらないようにするために忘れてしまうんだろうか?漫画「ドラゴンヘッド」の最終章ではないけれど,恐怖ってどうして慣れてしまうんだろうか?慣れてしまうことが正常なんだろうか?異状なんだろうか?
 頭の中をグリグリと穿り返しても「どうして核に恐怖を感じないのか」がさっぱりわからない.頭の中の脳を形作るニューロンなんかのレベルで馴化は起こり,大きな人間としてのシステムとして観察したときでも馴化は起こり,人間が集まった社会全体としても馴化が起こっているんだろうなぁ.
 そんな映画.俺は狂っているのか?

生きものの記録 [DVD]

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