学園祭

世の中は11月.日本の各地の大学では,学園祭なるものが多く開かれ,裕福な大学では芸人や歌手が来て,裕福では無い大学でも学生による演劇やライブ,様々な展示なんかが繰り広げられている.僕もおととしくらいまではライブをやったりしていた.演劇や手品を見たり,人の歌を聞いたり,プロレス同好会に口汚く野次を飛ばしたりしていた.
 もちろん,こういった文化的なものは華のひとつであり,他方に文化的とは程遠いけれど熱く学園祭に参加し,なんか「学生時代に遣り上げた感」が欲しい人々による「食べ物屋台」はもう一方の華である.これらは当然切っても切れない縁で,演劇を見ながらおでん.ライブを見ながら焼き鳥,手品を見ながらから揚げ,まぁ,うちの軽音楽部では「秋刀魚の塩焼き」とか「焼きおにぎり」などという渋く,かつ,食べにくいものをライブのお供に提供していた.
 昼過ぎに先生からいいつかった雑務をこなしていて,相変わらず,不可解なコンピュータとの相性の悪さがもろにでて,なぜか,無駄に時間を食ってしまい,夕方の4時ごろに終わった.「あぁ,今日は大量の解析をしなければいけないんだがなぁ...」と思いながら席に着くものの,いまいちストレスを感じたため生協におやつを購入しにいく.
 ぶっちゃけていうと,昨日から学園祭だなんてことはすっかり忘れ(というか,研究室に学園祭休みなど無い)ていたため,生協に行く途中に気づいた.生協に行く道々にも多くの屋台が出ていた.打ち上げのためのお金を稼ぐために小さいながらも必死に実利を求めて客引きをする(学部)学生達.「う〜ん,僕もこんなことしてたなぁ」などとほほえましい思いでみていた.
「あ,あっちでも客引きだ」「甘いものは苦手だから,ぜんざいの屋台の客引きとかはうざかったなぁ」「かわいい客引きをからかって遊んだりしたなぁ」とか思いながら生協に向かって屋台の間を縫って歩く.
 なんか,変だ・・・俺,客引かれない・・・ぜんぜん「おでん,いかがっすかぁ?」とか声かけられない・・・なんだろう?「大学院生を学園祭にみだりに混ぜるような行為をしたものには1週間の停学をいいわたす」のような決まりでもあるのか,それとも僕が気づかないうちに石ころ帽子でもかぶってしまったかのようなシカトっぷりだ.院生室に戻って机に花が飾ってあったら,ほんとに首を吊ってしまいそうだ.
 研究室に帰って後輩のI君に「大学院生に声をかけてはいけないとでもいわれたのかねぇ?(笑)」と話をすると「え?僕めっちゃ声かけられましたよ」と,
 そうか,「大学院生まで・でくそんを学園祭にみだりに混ぜるような行為をしたものには1週間の停学をいいわたす」というお触れが出てたのか・・・そうか・・・