実家に帰っていったあの子

昨晩,4時ごろに眠りについた僕を,眠りから覚ますノックの音.時計は9時を示している.まだ,いくらも眠っていない.「休日なのに」と同居人にくさくさしながら玄関にでると,無骨な男が立っている.
「お嬢さんをお連れしに来ました」
先日,記憶と声を失った彼女を病院に入れる手続きをしたことを思い出した.それにしても男はお世辞にも清潔な格好をしているとは言いがたい.まるで宅配業者だ.こんな男にまかせて無事に彼女が実家につけるのかが心配だ.彼女から聞いた話によると,実家は元々アメリカの先駆的なリンゴ農場だったそうだ.現在,彼女の実家は分家だそうで,日本でやはりリンゴを作っているらしい.
 元気になって帰ってくることだけを願う.彼女にもブルガリアの地を踏ませてあげる予定だからだ.早く帰っておいで.
 No Music, No Life!